タンニンとは?なぜ渋い?お茶・ワインに含まれる成分と健康への影響

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濃いお茶を飲んだときの、口の中がキュッとする感覚。

赤ワインを飲んだときに感じる独特の渋さ。

まだ熟していない柿を食べたときの、強烈な渋み。

こうした感覚に深く関係しているのがタンニンです。

タンニンは植物が作るポリフェノール性化合物の一群で、お茶やブドウ、柿などさまざまな植物に存在しています。

ただし、

「タンニン=体に良い抗酸化物質」

とだけ覚えるのは少し単純すぎます。

タンニンにはタンパク質や金属イオンなどと結びつきやすいという特徴があり、この性質が「渋み」「植物の防御」「皮革のなめし」「鉄吸収への影響」など、一見まったく違う現象につながっています。

この記事では、タンニンとは何なのかを、その化学的な性質から食品・植物・人体との関係までわかりやすく解説します。

結論|タンニンは「渋みを生むポリフェノールの仲間」

タンニンは、特定の1つの物質を指す名前ではありません。

植物が作るさまざまなポリフェノール性化合物のグループです。

大きな特徴は、

タンパク質などの大きな分子と結合しやすいこと。

この性質によって、

  • お茶やワインの渋みを生む
  • 植物が食害を受けにくくなる
  • 動物の消化に影響する
  • 皮を革へ加工する「なめし」に利用できる
  • 食事中の鉄の吸収に影響する

など、さまざまな現象が起こります。

つまりタンニンを理解するキーワードは、

「抗酸化」だけではなく「結合する性質」

です。

タンニンは1種類ではない

「タンニン」という名前から、1つの決まった分子を想像するかもしれません。

しかし実際には、構造の異なる多くの化合物があります。

植物に含まれるタンニンは、大きく分けると、

加水分解型タンニン(hydrolyzable tannins)

縮合型タンニン(condensed tannins)

がよく知られています。

加水分解型タンニンにはガロタンニンやエラジタンニンなどがあり、縮合型タンニンはプロアントシアニジンとも呼ばれます。

元の記事では「水溶性タンニン」と「不溶性タンニン」の2種類としていましたが、タンニンの化学的分類としてはこの説明は適切ではないため修正します。

重要なのは、

「タンニン」という言葉の中に、構造も性質も少しずつ違う多くの成分が含まれている

という点です。

なぜタンニンを食べると「渋い」の?

タンニンの最も身近な特徴が渋みです。

実は渋みは、甘味や塩味のような単純な「味」とは少し違います。

タンニンが口の中に入ると、唾液中にあるタンパク質と相互作用します。

タンニンと唾液タンパク質との相互作用は実験でも確認されており、こうした反応が口腔内の潤滑性を変化させることで、口が乾いたような、キュッと縮まるような感覚につながると考えられています。

そのため、

渋み=舌だけで感じる味

というより、

口全体で感じる感覚

に近いものです。

赤ワインを飲んだあとに歯ぐきや頬の内側までキュッとするのも、このためです。

タンニンはどんな食品に含まれる?

タンニンやタンニンに分類されるポリフェノールは、さまざまな植物性食品に存在します。

代表的なのは、

  • ブドウ・赤ワイン
  • ザクロ
  • ベリー類
  • 一部のナッツ
  • 豆類

などです。

ただし、食品ごとに含まれるタンニンの種類は同じではありません。

例えばワインでは、ブドウの皮や種子などに由来する縮合型タンニンが、渋みや口当たりに大きく関係します。

また、果実では熟成によって渋みの感じ方が変化するものもあります。

身近な例が渋柿です。

渋柿には可溶性のタンニンが多く、口の中のタンパク質と反応するため強い渋みを感じます。

「渋抜き」をすると、タンニンそのものが完全になくなるというより、口の中で反応しにくい状態になることで渋みを感じにくくなります。

渋柿はなぜ「渋抜き」で甘く感じる?

渋柿の渋みもタンニンの性質と深く関係しています。

実は、渋抜きではタンニンを完全に消しているわけではなく、水に溶けにくく、口の中で渋みを起こしにくい状態へ変えることが重要です。

二酸化炭素やアルコール、干し柿でなぜ渋みが消えるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

タンニンは植物にとって何のためにある?

植物は動物のように逃げることができません。

そのため、昆虫や草食動物、微生物などに対してさまざまな化学物質を作っています。

タンニンも、こうした植物の化学的防御に関係すると考えられてきました。

タンニンはタンパク質と結合するため、植物を食べた動物の消化性や食べやすさに影響することがあります。

強い渋みそのものも、動物にとって「食べにくい」という情報になります。

ただし、

タンニンがあれば絶対に食べられない

わけではありません。

草食動物や昆虫の中には、タンニンを含む植物を利用できるものもいます。

植物と動物は長い進化の中で、

植物側の化学防御と、それを食べる側の適応

を繰り返してきました。

タンニンはその代表的な例の一つです。

タンニンはどうして革の「なめし」に使える?

「タンニン」という名前は、皮革を加工する**tanning(なめし)**とも深い関係があります。

動物の皮はそのままでは腐敗しやすく、乾燥すると硬くなります。

そこで植物から得たタンニンを利用し、皮に含まれるコラーゲンなどのタンパク質と相互作用させることで、より安定した革へ加工する方法が古くから利用されてきました。

ここでも重要なのは、

タンニンがタンパク質と結合しやすい

という性質です。

口の中では「渋み」になる性質が、産業では「革を作る技術」に利用されているわけです。

タンニンは鉄とも結びつく

タンニンや食品中のポリフェノールを考えるとき、栄養面で特に重要なのが鉄との関係です。

植物性食品に多い非ヘム鉄は、食事中の他の成分によって吸収率が変わります。

お茶を鉄を含む食事と同時に摂取したヒト試験では、非ヘム鉄の吸収が低下しました。

一方、その試験では食事からお茶を1時間ずらすことで、抑制作用が弱くなりました。

ここから、

お茶を飲むと鉄欠乏になる

と考える必要はありません。

健康な人が普通にお茶を楽しむことと、鉄欠乏のリスクがある人が毎食大量のお茶を一緒に飲むことは別です。

特に鉄不足を指摘されている人などでは、食事と濃いお茶を同時に摂る習慣について医師や管理栄養士などに相談する選択肢があります。

タンニンには抗酸化作用がある?

タンニンはポリフェノールの一群であり、化学的には酸化還元反応に関わる性質を持ちます。

そのため、タンニンについては抗酸化作用をはじめ、抗菌作用や炎症などとの関係について多くの研究が行われています。

ただし、ここで重要なのが、

試験管の中で作用したことと、人が食品として摂取したときに病気を防ぐことは同じではない

という点です。

元の記事では、

老化やがんの予防に役立つ
感染症の予防や治療にも役立つ

と説明していました。

しかし、このような書き方では研究結果を一般化しすぎています。

タンニンは種類が非常に多く、食品として摂取されたあとには消化・代謝・腸内細菌による変換なども受けます。

そのため、

「タンニンを摂ればがんや感染症を予防できる」

とは現時点では言えません。

食品に含まれるポリフェノールの一群として研究されている、と理解するのが適切です。

「タンニンが多い食品=健康に良い」とは限らない

健康情報では、

「抗酸化物質が多いから健康に良い」

という説明をよく見かけます。

しかし栄養は、一つの成分だけで決まるものではありません。

タンニンの場合も、

適度な量では食品の風味を作る重要な成分である一方、タンパク質や鉄などとの相互作用もあります。

つまり、

タンニンは完全な「善玉成分」でも「悪玉成分」でもありません。

食品の種類、食べる量、他の食事との組み合わせ、個人の栄養状態などによって意味が変わります。

「タンニンを摂るために何かを大量に食べる」より、

お茶や果物などを食生活の一部として楽しむくらいが自然です。

お茶はタンニンがあるから避けた方がいい?

健康な人が、

タンニンが含まれているという理由だけでお茶を避ける必要はありません。

お茶は嗜好品として世界中で飲まれており、その中にはさまざまなポリフェノールが含まれます。

注意したいのは、

「タンニン=健康に悪い」

と極端に考えることです。

一方、鉄欠乏のリスクがある場合には、

「鉄を摂りたい食事と濃いお茶を必ず一緒に飲む」

という習慣を見直す意味はあります。

タンニンの影響は、

食べるか食べないかの二択ではなく、量やタイミングも含めて考える

のがポイントです。

「タンニン」と「ポリフェノール」は同じ?

完全に同じではありません。

ポリフェノールは、植物由来の非常に多くのフェノール性化合物を含む大きなカテゴリーです。

タンニンはその中でも、特にタンパク質などとの相互作用を起こしやすい化合物群として扱われます。

つまりイメージとしては、

ポリフェノールという大きなグループの中に、タンニンと呼ばれる一群がある

と考えると理解しやすいでしょう。

カテキン、アントシアニン、タンニンなどの言葉が健康食品の記事で混同されることがありますが、すべて同じ物質ではありません。

タンニンの面白さは「同じ性質がまったく違う現象を生む」こと

タンニンを理解すると面白いのは、

タンパク質などと結合しやすい

という化学的な特徴が、

食品では「渋み」
植物では「食害への防御」
産業では「革のなめし」
栄養では「鉄吸収への影響」

という、まったく違う現象につながっていることです。

生物学や化学では、一つの物質の性質を理解するだけで、身近な現象が一気につながることがあります。

タンニンはその分かりやすい例です。

まとめ|タンニンは「渋い健康成分」だけではない

タンニンは、植物に広く存在するポリフェノール性化合物の一群です。

特に重要なのが、

タンパク質や金属イオンなどと相互作用しやすい性質

です。

この性質によって、

  • お茶やワインなどの渋み
  • 植物の化学的防御
  • 皮革のなめし
  • 食事中の鉄吸収への影響

などが生じます。

一方、

「抗酸化作用があるから、がんや感染症を予防できる」

という単純な説明はできません。

タンニンにはさまざまな研究がありますが、

食品中に成分が存在することと、人間の病気を予防・治療できることは別

です。

タンニンを「体に良い」「体に悪い」の二択で考えるのではなく、

植物が作る化学物質が、食品・生態・産業・人体でどのような働きをするのか

という視点で見ると、より面白く理解できます。

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参考文献

Carvalho, E. et al. (2006). Influence of wine pectic polysaccharides on the interactions between condensed tannins and salivary proteins. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 54(23), 8936–8944.

Fuzi, S. F. A. et al. (2017). A 1-h time interval between a meal containing iron and consumption of tea attenuates the inhibitory effects on iron absorption: a controlled trial in a cohort of healthy UK women using a stable iron isotope. American Journal of Clinical Nutrition, 106(6), 1413–1421.

Guest, S. et al. (2008). The effect of oral drying and astringent liquids on mouthfeel. Physiology & Behavior, 93(4–5), 889–896.

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