はじめに|天然酵母パンって何が違うの?
パン屋さんでよく見る「天然酵母パン」。
なんとなく、
・体に良さそう
・おしゃれ
・高級そう
というイメージはありませんか?
でも実際には、
✔ 天然酵母って何?
✔ イーストとどう違う?
✔ 本当に体にいいの?
✔ なぜ味が違うの?
と疑問に思っている方も多いはずです。
この記事では、生物学の視点から
天然酵母パンの正体と違いをわかりやすく解説します。

実は筆者は野生酵母を使った日本酒やビール、パンの商品開発及び発酵機能の改善に関する研究をしていました。研究者の視点でやさしく説明したいと思います。
日本酒についてはこちら!野生酵母っていろんな発酵特性を持っていて、使うものによって日本酒の品質が大きく変わるんです!私はその法則を見つけたいとおもい、ストレス耐性に着目し、関係性を研究していました。
そもそも天然酵母とは?
天然酵母とは、
空気中や果物、穀物に自然に存在する野生酵母のことです。
代表的なものは、
レーズンやりんごなどの表面に付着している酵母。
パン作りでは、これらを培養して「酵母液」を作り、生地を発酵させます。
一方、市販のドライイーストは
特定の酵母(主に Saccharomyces cerevisiae)を大量培養したものです。
天然酵母とドライイーストの違い
| 比較項目 | 天然酵母 | ドライイースト |
|---|---|---|
| 酵母の種類 | 複数種が混在 | 単一株 |
| 発酵時間 | 長い(数時間〜1日) | 短い(1〜3時間) |
| 味 | 酸味・複雑味あり | 安定・シンプル |
| 管理 | 難しい | 簡単 |
最大の違いは 微生物の多様性 です。
天然酵母は、酵母だけでなく乳酸菌も共生しています。
これが味の差を生みます。
なぜ天然酵母パンは「体にいい」と言われるの?
よく言われる理由は3つあります。
① 消化しやすい
長時間発酵によって、
・グルテンが部分分解される
・デンプンが分解される
そのため胃腸への負担が軽いと感じる人がいます。
※ただし医学的に「必ず体に良い」と証明されているわけではありません。
② 血糖値が上がりにくい可能性
乳酸菌が生成する有機酸により、
GI値がやや低くなる場合があります。
これも個人差があります。
③ 添加物が少ない傾向
天然酵母パンは、
シンプルな材料で作られることが多いです。
ただし「天然=無添加」ではありません。
なぜ天然酵母パンはおいしいのか?
理由は「発酵副産物」にあります。
天然酵母では、
・有機酸
・エステル
・アルコール類
が多様に生成されます。
これにより、
✔ ほのかな酸味
✔ 奥行きのある香り
✔ もっちり食感
が生まれます。
これは短時間発酵では出にくい特徴です。
天然酵母パンのデメリット
メリットだけではありません。
・発酵に時間がかかる
・温度管理が難しい
・失敗しやすい
・価格が高め
安定性ではドライイーストが優れています。
どちらを選べばいい?
✔ 手軽に作りたい → ドライイースト
✔ 風味を楽しみたい → 天然酵母
✔ 健康志向 → 長時間発酵タイプ
目的次第です。
自宅で始めるなら
初心者は、
① 市販の天然酵母スターターを使う
② ホームベーカリー対応タイプを選ぶ
のがおすすめです。
いきなり野生酵母を起こすと失敗しやすいです。

私は研究の時に均一なパン生地を作るためにホームベーカリーを使っていました。こちらです。
まとめ|天然酵母パンは「微生物の共生」が生む味
天然酵母パンは、
✔ 酵母と乳酸菌の共生
✔ 長時間発酵
✔ 多様な代謝産物
によって独特の風味が生まれます。
「体にいいかどうか」よりも、
発酵の違いを楽しむパン
と考えるのが正確です。
次にパンを選ぶときは、
ぜひ「発酵方法」に注目してみてください。


