SF映画やゲームで見かける「緑や紫の血」の科学的根拠5選

SF映画やゲームでは、エイリアンの血液が赤ではなく緑や紫、青といった色をしていることがよくあります。たとえば『エイリアン』シリーズのエイリアンは緑色の血を持ち、『マスエフェクト』のクリーチャーは紫の血を流します。これは単なる演出や視覚効果ではなく、実は地球上の生物の血液の多様性や生理化学的な理由と結びついています。本記事では、SFやゲームに登場する異色の血液の科学的根拠を、5つのポイントに分けて解説します。

1. 血液の色は酸素運搬タンパク質によって決まる
2. 環境に適応した血液色の進化
3. 緑の血液：ヘモグロビンの酸化状態と毒素
4. 紫の血液：異なる金属の使用と代謝物
5. SF設定の科学的リアリティを高めるポイント
6. まとめ：エイリアンの血液色は科学的に成立可能
1. 参考リンク

1. 血液の色は酸素運搬タンパク質によって決まる

血液の色は、酸素を運ぶために使われる金属タンパク質に依存しています。

赤色：地球上で最も一般的。ヘモグロビン（鉄を含む）が酸素と結合することで赤くなる。哺乳類や鳥類の血液はこれに該当します。
青色：ヘモシアニン（銅を含む）を持つタコやイカ、甲殻類では血液が青みを帯びます。酸素と結合すると青くなる特徴があります。
緑色：一部のヘモグロビン変異体やヘム以外の酸素運搬分子、例えば緑藻類や一部の海産無脊椎動物では血液が緑色になります。
紫色：酸素運搬に使う金属が異なる場合、例えばバンデグナイトなどの希少な金属タンパク質を含む血液では紫色に見えることがあります。

つまり、SFで緑や紫の血を流すエイリアンは、酸素運搬分子の種類が地球生物と異なる可能性を示唆しています。

2. 環境に適応した血液色の進化

血液の色は進化の過程で環境適応の結果として変化します。

低酸素環境：高山や深海の生物では、酸素親和性の高い酸素運搬分子が選択されます。ヘモシアニンを持つ深海のイカは青い血をしています。
極端な温度やpH：血液中の金属が異なる形で結合すると、光の吸収波長が変わり、血液が緑や紫に見えることがあります。
捕食や防御：一部の生物は血液に毒素や防御物質を含むことで色が変わることがあります。たとえば緑のヘム代謝物を含む血液は、捕食者に警告色として機能する可能性があります。

このように、血液色は単なる偶然ではなく、生物の生存戦略の一部です。SFのエイリアンの血液色も、惑星の酸素濃度や紫外線量に適応した結果として合理的に考えられます。