【気を付けよう。食生活】アクリルアミド

化学物質

アクリルアミドは、主に工業用途で使われる有機化合物で、プラスチックや紙製品、繊維の加工に利用されています。また、食品分野でも関わりがあり、特定の食品を高温調理した際に微量ですが生成されることがあります。例えば、パンやフライドポテト、ビスケットなど、炭水化物を含む食品を180度以上で加熱すると、アクリルアミドが発生する可能性があります。近年、この物質が健康に与える影響が注目され、アクリルアミドの生成量を抑えるための調理方法や製造工程の改善が求められています。

アクリルアミドの構造からわかる特性

アクリルアミドの分子構造は、アミド基(CONH2)と炭素間の二重結合(C=C)を含んでいます。この二重結合は、他の分子と反応しやすい特性を持ち、ポリマー(高分子)を形成しやすい性質があります。そのため、アクリルアミドから作られるポリアクリルアミドという高分子は、強度が高く、形を保つ能力にも優れています。この構造により、アクリルアミドは強固で安定したプラスチック製品の材料として利用されています。また、分子の水と親和性があるため、水溶性ポリマーの一部としても使われ、フィルターや浄水装置の一部としても利用されています。

アクリルアミドはどのようにして得られる?

工業的には、アクリルアミドはアクリロニトリルという物質から合成されます。アクリロニトリルを触媒を用いて加水分解することで、アクリルアミドを効率的に生成することが可能です。このプロセスでは、高温や圧力を管理しながら反応を進めます。食品中のアクリルアミドは自然発生的に生成されます。特にパンや芋類などの炭水化物が高温で加熱されると、アスパラギンというアミノ酸と還元糖が反応してアクリルアミドが生成されます。この現象は、食材を揚げたり、焼いたりする際に起こりやすいです。

アクリルアミドの利用例

アクリルアミドは、特に工業分野で幅広く利用されており、プラスチックや紙製品の製造、繊維の加工、また土木工事での土壌改良剤として用いられることがあります。また、アクリルアミドから合成されるポリアクリルアミドは、水処理フィルターや土壌の安定化剤としても役立ち、浄水場や災害対策などにも重要な役割を果たしています。さらに、ポリアクリルアミドゲルは実験室での電気泳動に使われ、DNAやタンパク質の解析にも利用される重要な素材です。

アクリルアミドの人体・環境への影響

アクリルアミドの摂取は動物実験では健康リスクが報告されています。高濃度のアクリルアミドが神経系に悪影響を与えたり、発がん性の懸念が指摘されており、食品中のアクリルアミド濃度を抑える取り組みが行われています。具体的には、食品加工業界では揚げ時間や温度を調整し、生成量を減らす工夫が行われています。環境面でもアクリルアミドの廃棄や漏洩には注意が必要です。高濃度が環境中に放出されると水生生物に影響が出るため、使用後の処理には適切な方法が求められます。

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