SF映画やゲームでは、エイリアンの血液が赤ではなく緑や紫、青といった色をしていることがよくあります。たとえば『エイリアン』シリーズのエイリアンは緑色の血を持ち、『マスエフェクト』のクリーチャーは紫の血を流します。これは単なる演出や視覚効果ではなく、実は地球上の生物の血液の多様性や生理化学的な理由と結びついています。本記事では、SFやゲームに登場する異色の血液の科学的根拠を、5つのポイントに分けて解説します。知らないと損する「血液の色」の仕組み|SFのエイリアンが緑や紫の血を流す科学的な理由
映画『エイリアン』で怪物から滴り落ちる不気味な緑色の体液や、SFゲームで宇宙人が流す鮮やかな紫色の血。これらを見て「いかにも架空の生き物らしい、派手な演出だな」と思ったことはありませんか?
実は、これらの「おかしな色の血」は、単なるSFのウソや視覚効果ではありません。地球の生物の歴史や化学の仕組みを紐解くと、「その色の血液を持つだけの、納得の理由」がきちんと存在するのです。
この記事では、なぜ血液には様々な色があるのかという科学的な根拠から、地球上に実在する「赤以外の血を持つ青い生き物たち」、そして映画やゲームの設定がどれほどリアルなのかまでを分かりやすく解説します。
1. 結論:血液の色は、酸素を運ぶ「金属のサビ(酸化)」で決まる
結論から言うと、人間の血が赤いのも、宇宙人の血が緑や紫になるのも、すべては「呼吸で吸った酸素を体中に運ぶために、どの金属を使っているか」という違いにあります。
私たちの血液が赤いのは、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質に「鉄」が含まれているからです。鉄が酸素と結びつくと、文字通り「サビた鉄」と同じ原理で鮮やかな赤色になります。
もし、生物が進化の過程で「鉄以外の金属」を酸素運搬の相棒に選んでいたら、血液の色はまったく違うものになります。SFに登場するエイリアンたちは、その惑星の環境に合わせて、鉄以外の金属や特殊な成分を体内で使っていると考えれば、科学的にとても理にかなっているのです。

血に関するまとめ記事はこちらです!
2. 【生物学の視点】地球にも実在する!赤以外の血液と生存戦略
「鉄以外を使う生き物なんて本当にいるの?」と思うかもしれませんが、私たちの住む地球にも、赤以外の血を流す先輩たちがたくさん存在します。
① 【青い血】タコ、イカ、カニ
彼らの血液には、鉄の代わりに「銅」を含む「ヘモシアニン」というタンパク質が流れています。銅は酸素と結びつくと青くなる性質があるため、彼らの血は綺麗なブルーをしています。特に冷たい海や酸素の少ない深海では、鉄よりも銅の方が酸素を効率よく運べるため、このような進化を遂げました。
② 【緑の血】トカゲ、カエル、ゴカイ
南太平洋に住むあるトカゲ(スキンクの仲間)は、筋肉も口の中も、そして血液も鮮やかなライムグリーンです。これは、ヘモグロビンが分解されてできる「ビリベルジン」という緑色の胆汁色素が、なぜか血液中に大量に溜まっているためです。通常なら有害な成分ですが、彼らはこの緑の血のおかげで、体内の寄生虫を撃退しているのではないかと言われています。
例えで言うと: 血液は、酸素を運ぶための「配送トラック」です。人間は「鉄製トラック(赤)」を使い、タコは「銅製トラック(青)」、一部のトカゲは「緑の防護塗装を施したトラック」を使っているイメージです。

血液に関する詳細を学びたい方はこちらをどうぞ。血液は病気の兆候や健康に関することが分かりやすいので、学んでいて損はないと思います!
3. 実は奥深い!「紫の血」を説明する未知の金属
では、ゲームなどで見かける「紫の血」はどう説明できるでしょうか?これも科学的な裏付けが可能です。
地球の海に住む「ホヤ」の一種は、細胞内に「バナジウム」という非常に珍しい重金属を、海水の数百万倍もの濃度で濃縮して蓄えています。 このバナジウムを使った「バナデニン」という成分は、酸素の有無や化学反応の状態によって、紫や赤褐色、緑色へと美しく色を変えます。
SF作品で紫の血を流すキャラクターは、こうした特殊な金属を体内に取り込むことで、強力な有害光線(紫外線など)から細胞を守る抗酸化シグナルとして利用している、という進化学的な背景を想像することができます。
4. 「じゃあどうすればいい?」創作や物語をもっと楽しむ視点
もしあなたがSF映画を見たり、ゲームをプレイしたり、あるいは自分で物語を作ったりするなら、以下の「環境のヒント」に注目すると、作品のリアリティが何倍にも膨らみます。
- 「低酸素や深海の星」なら: 銅ベースの「青い血」や、バナジウムベースの「紫の血」の生物が生まれやすい。
- 「毒素や紫外線が強い星」なら: 血液そのものに毒性や警告色を持たせるため、ヘムの代謝産物による「緑の血」が合理的。
- 「温度変化が激しい星」なら: 体温やpH(酸性度)の変動によって、体内で血の色が赤から紫へ変化するようなギミックも科学的に成立します。
5. よくある誤解:「人間の血も、酸素がなくなると青くなる?」
「ネットの雑学で、人間の静脈(ドロドロした血)は青いって聞いたけど?」という疑問を持つ方が時々います。
結論から言うと、人間の血は酸素がなくなっても青くはなりません。 酸素を失ったヘモグロビンは、鮮やかな赤から「暗い赤(どす黒い赤)」に変わるだけです。皮膚の上から血管が青く見えるのは、皮膚の脂肪や光の波長のいたずら(錯視)に過ぎません。地球上で本当に青い血を流せるのは、タコやカニなどの選ばれた生き物だけです。

動物に関しては様々な本で学ぶことができます。特に以下の本は読みやすく、雑学のような知識を入れることができます。本屋でもよく見るので、ぜひ手に取ってみてください。
まとめ:異色の血液は、生命が生き抜くための「化学の答え」
SFに登場するカラフルな血液は、決してデタラメではなく、地球の生物学が証明している可能性の延長線上にあります。
- 血液の色は、酸素を運ぶタンパク質(金属)の種類で決まる
- 地球上にも、銅を使った「青い血」や色素による「緑の血」が実在する
- 環境適応(深海や有害物質への防御)の結果として、血の色は進化する
次に映画やゲームで風変わりな血を流すクリーチャーを見たときは、「この星はきっと酸素が薄くて、銅やバナジウムが豊富な環境なんだな」と想像してみてください。創作物の世界が、一気にリアルで奥深いものに感じられるはずです。流すエイリアンは、酸素運搬分子の種類が地球生物と異なる可能性を示唆しています。
次に読むと理解が深まる記事
参考リンク
- 「生物の血液の色の種類」生物学資料
- 「ヘモシアニンとヘモグロビンの酸素運搬」Journal of Experimental Biology
- 「ヘム代謝とビリベルジン」Biochemistry Letters
- 「海洋無脊椎動物のバナデニン血液」Marine Biology Reports





