【環境を見直せば、パンデミックは防げる!】環境と生物の相互作用と人間に影響を与えるパンデミックとは?

サイエンス

 環境と生物の相互作用は、私たちの健康と安全に深い影響を与えています。パンデミックはその一例であり、動物から人間にウイルスがスピルオーバーすることで引き起こされることがあります。COVID-19やエボラ出血熱など、過去のパンデミックはこのメカニズムに従って広がりました。環境の見直しは、将来のパンデミックを防ぐための重要な手段の一つとなり得ます。

動物から広まったパンデミックとは

ここでは自然宿主から、そうではない生物にウイルスが直接感染することを、スピルオーバーと呼びます。

COVID-19(新型コロナウイルス)

COVID-19は、最初に中国の武漢市で報告された新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックです。このウイルスはおそらくコウモリから人間にスピルオーバーし、その後、人から人へと広がりました。

エボラ出血熱

エボラ出血熱は、アフリカのコウモリからヒトにスピルオーバーし、主に接触感染によって広がります。これにより、エボラ出血熱のパンデミックが複数回発生しました。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

HIVも元々は霊長類から人間にスピルオーバーしたウイルスであり、後に世界的なエイズパンデミックを引き起こしました。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスは、鳥や豚などの動物から人間にスピルオーバーし、人から人へと広がることがあります。例えば、鳥インフルエンザや豚インフルエンザなどがあります。

蚊の腸内細菌がデング熱やジカウイルスと戦う

蚊は地球上で最も危険な生物です。感染症の媒介により、被害を多数出しています。そんななか中国の研究チームが、モスキートの腸内から新たな細菌を発見し、それがデング熱やジカウイルスとの闘いに役立つ可能性があることを突き止めました。この細菌は、モスキートの体内でウイルスの感染を防ぎ、疾患の伝播を抑制します。これにより、既存の殺虫剤に抵抗性を持つモスキートによる疾患伝播を制御する新たな手段が開発される可能性が示唆されました。研究はまだ初期段階ですが、実際の疾患伝播における細菌の効果を探る道が開かれました。

引用:
Bacteria found in mosquito guts could help scientists fight dengue, Zika
18 APR 2024 BYCATHERINE OFFORD
https://www.science.org/content/article/bacteria-found-mosquito-guts-could-help-scientists-fight-dengue-zika

モアイ研究所
モアイ研究所

蚊は気づかないうちに血液中に病原菌を媒介させている可能性があるため、社会問題の一つとしてとらえられています。

生態系の保全がパンデミックの予防に役立つ

生態系を保全することで、動物と人間の間でウイルスが移動するのを制限することができます。最近の報告書では、森林や川などの自然空間の保護や回復、開発された地域での人間と野生動物の接触の最小化が推奨されています。これにより、以前に知られていなかった感染症の発生を防ぐことができます。バイオロジストや生態学者による国際チームによるこの取り組みは、コウモリからの動物由来のウイルスのスピルオーバー事例をもとに、パンデミック予防の道筋を示しています。

引用
Ecological countermeasures to prevent pathogen spillover and subsequent pandemics
Raina K. Plowright
https://www.nature.com/articles/s41467-024-46151-9

モアイ研究所
モアイ研究所

環境にやさしく動物をコントロールできる技術があると、人間だけではなく、動物たちにも優しくできますね。

おわりに

生態系の保全や新たな科学的発見によって、パンデミックの予防と対処が可能になる道が開かれています。地球上の生物との共存を促進し、環境を保護することは、私たちの健康と安全を守るための重要なステップです。科学と環境保全の両面からの取り組みが、将来のパンデミックリスクの軽減に向けた努力を支えるでしょう。

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