昆虫が光に集まっているのを見たことはありませんか?公園や道路にある街頭、車のヘッドライトなどに、寄ってきた昆虫たちがうっとうしく思えた方もいるでしょう。しかし、意外なことにその理由はわかっていないのです。現在予想されている理由や原理について解説していきます。
昆虫は紫外線が見える!
昆虫が頻繁に集まってくる電灯には、紫外線が放出されており、昆虫たちはその紫外線を感知し、飛来しているといわれています。ほとんどの街頭はLEDが採用されています。LEDはほとんど紫外線が放出されないため、集まる昆虫は少なくなります。そのため、昆虫を集めるためには紫外線が放出される白熱電球などを用いる場合が多いです。昆虫を集める方法には、紫外線が出るライトと、光を反射しやすい白色の布を用意して採集する灯火採取(ライトトラップ)というものがあります。
人間には紫外線が見えませんが、昆虫は、紫外線が見える代わりに赤が見えないみたいです。
最も有力な説は?
蛾や他の夜行性の昆虫が光源に集まる理由については、様々な説が提唱されてきました。その中でも代表的な説の一つは、日没後に活動を始める際に、明るい空や月の光を目印に進む走行性があるためだというものです。これは昔からの説であり、昆虫が光源に集まる行動を天然の光に対する反応と解釈します。しかし、近年では、この説に対して異論も提起されています。人工の光源は非常に強く、昆虫はその光に引き寄せられますが、自然界にはこのような強い光源が存在しないと考えられています。
実は光に集まってきたわけじゃない?
こちらの研究では、昆虫の飛行データを集め。高解像度のモーションキャプチャを行い、人工光源の周りでの昆虫の飛行の動きを観察しました。その結果、昆虫は光源に直接向かって進むのではなく、背中を光源に向けて、光源に垂直な方向に飛行することが分かりました。つまり、太陽光などの自然な空の光では、その光に背を向けて飛行することで適切な飛行姿勢と制御をしている。しかし、人工的な光では、それが乱されてしまい、狂ったように集まってきてしまうと考えています。
飛行するときに安定するために光を使っていたんですね。昆虫の背中には紫外線を感じ取る器官があるのでしょうか?
まとめ
昆虫が光源に集まる理由については、様々な説が提唱されてきました。その中でも、紫外線による誘引や走行性による反応などが有力視されてきました。しかし、最近の研究では、自然な光源では適切な飛行姿勢を保つために背中を向けるのに対し、人工的な光源ではその反応が乱れ、昆虫が乱れ飛ぶように見えるのだと考えられます。
この研究結果は、昆虫が光源に集まる原因を新たな視点から解明する上で重要な一歩となりました。今後の研究がさらに深められることで、都市環境における昆虫の行動や光源への反応についてより詳細な理解が得られることでしょう。